東京とんかつ会議 第26回 国分寺「桂」の上ロースかつ定食1500円

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東京とんかつ会議 第26回
国分寺「桂」の上ロースかつ定食1500円
<肉2、衣2、油3、キャベツ2、ソース1、御飯2、新香3、味噌汁2、特記お母さんのサービス1 18点(各項目3点満点、特記項目含め25点満点)>

12時半に入ろうとしたら、ちょうど店を閉めようとしていたところだった。「もう終いですか?」と、お母さんに訊くと、「どうぞどうぞ、お入りください。すいませんねえ」と、満面の笑みで答えられた。
カウンター10席は、ほぼ満席。国分寺から徒歩17分という不便な場所にあるのに関わらずである。皆黙々ととんかつと向き合っている。
厨房には、いかにも誠実そうなご主人と、気のいいお母さん。街に長く愛される食堂としての空気に満ちている。お茶やお水、お新香やご飯を出す、もしくは席を奨める役割のお母さんの気配りが、なんともあたたかい。親戚のおばさんの家へ、ご馳走に呼ばれた気分である。街の食堂はこうでなくちゃ。
上ロースカツは、脂を掃除した肉で、高温で揚げられる。厚みも大きさも、脂を掃除したことを考えると、1500円は相当お値打だろう。焦げ茶に揚がったとんかつに歯を立てれば、衣がカリカリッと音を立てる。油切れも良く、肉もほのかに甘い。
高温ゆえに、最後の方には余熱で少し肉に火が入りすぎてしまう点や、衣がやや苦くなってしまう点があるが、充足感は十分あり。隣の男性客は、1200円のロースカツ定食を食べていたが、立派な大きさだ。
キャノーラ油ゆえ、後口はあっさりとしているが、この肉ならラードのコクも欲しいなとわがままな思いも浮かぶ。
ソースは昔のとんかつ屋さながらに味が濃いので、肉のうま味を純粋に味わいたいなら、下味の塩胡椒が効いたカツをそのまま食べるか、塩がお奨めである。キャベツとご飯は、一回ならおかわり自由。千枚漬け、胡瓜とキャベツの浅漬けという布陣の豊富なお新香、椀にたっぷり注がれたなめこと豆腐の味噌汁は、ともに沢山ご飯を食べてねというメッセージが込められている。